インフォアジャパン株式会社(東京都千代田区)は、Amazon Web Services(AWS)との技術連携を拡大し、クラウド移行と生成AI活用を一段と加速します。AWS Marketplaceでの「Infor Velocity Suite」の提供開始と、2025年末提供予定の「AWS European Sovereign Cloud」のローンチパートナー就任が柱で、製造・流通など複雑な業種向けにERPとAIを組み合わせたサービスを強化します。
Velocity Suiteは、企業の基幹システムをクラウド上で近代化するための包括的なソリューションで、AWS Marketplaceでは個別条件で契約する「プライベートオファー」として提供されます。これにより、既にAWSを利用する企業は、調達・契約・請求を一元管理しやすくなり、自動化や業務改革を短期間で進めやすくなるとしています。
欧州では、データを自国内や特定地域にとどめる「データ主権」要求が強まる中、インフォアは欧州向けの独立クラウド基盤であるAWS European Sovereign Cloudに対応し、複雑な製造・流通・サービス産業向けERP「Infor LN」を展開します。これにより、欧州企業は規制に配慮しながらクラウドの利便性を享受できるようになる見込みです。
同社の次世代ERPはAWS上でネイティブ構築されており、生成AI基盤「Amazon Bedrock」、機械学習サービス「Amazon SageMaker」、開発支援の「Amazon Q Developer」などを活用します。業界特化型の「Infor Industry AI Agents」を通じて、在庫最適化、需要予測、設備の予知保全など、AIによる業務効率化の具体的なユースケースを提供します。
さらに、ERPワークロードをAWSに移行するクラウド移行プログラム「Infor Leap」を打ち出し、導入遅延や予算超過を抑えるための予測可能なスケジュールと定額料金モデルを提示します。これにより、クラウド移行のハードルを下げ、中堅企業を含む幅広い企業の移行需要を取り込む狙いです。
今後は、欧州での主権クラウド対応と生成AI機能の拡充が、各国の規制対応や人材不足への解決策としてどこまで浸透するかが焦点となります。インフォアとAWSの連携強化が、クラウドERP市場での競争環境や価格体系に与える影響も注視されます。
source: PR TIMES
